ミーンミンミンミンミーン

セミがなる山のすぐ裏に小さな村がある。

わたしは、そこで一人暮らしをしている。

大学もすぐ近く、 山を越えればすぐ実家に帰れるし何かと便利なところに住んでいる。
駅も近いし、隣の農家のおじさんが野菜を分けてくれたり、おばさんが料理をご馳走してくれたりと本当にいいところだ。

2年間、大学入学とともにここで暮らしている。

きょうは、祝日だから大学も休み。
もう起きた時はお昼前で、ついついそのままダラダラぐだぐだテレビを見て過ごしていた。



『cmの後は、あの痛ましい事件の全貌が詳しく分かりましたのでお伝えしたいと思います。』



つまらないドラマを変えて行くとニュース番組になった。

痛ましいニュース?
なにそれ気になるなぁ

っと、いつも事件なんかに目もくれない私がリモコンのボタンを押す手を止めた。


cmがおわると、先ほどのアナウンサーが画面に映し出された。


私も、こんな綺麗なアナウンサーになるんだなんて思いながら画面を見る。


『昨夜未明、○○県○○○で、大学二年生の山口みかさんが自宅の玄関にて、手首を切られたと通報がありました。幸い命には別状はないものの出血多量での意識不明の重体だそうです........』



それから、アナウンサーや報道キャスターがいろいろ言っていたが、なにも頭にはいってはこなかった。



........山口みか。




いや、違う。
絶対違う。
同姓同名だ...。


でも...、



○○県○○○...。
みかの家がある住所。


手首を切られた?

出血多量......重症。


誰がそんなことを。



『......画面切り替わります。
大江アナウンサー?』

『...はい、こちら○○病院前です。
この病院で今もなお山口みかさんは入院中だということです。』

『意識はないと聞いたのですが。』

『はいっ。それが、つい先ほど意識を取り戻したそうなんですが、どうやら記憶が曖昧で犯人の顔を見たそうなんですがはっきり思い出せないと言う事です。』

『そうですか...。はやく犯人が捕まるといいですね。それでは新しい情報があったら........』


○○病院。
ちかい。

みか。
みか...なんで連絡取れなかったんだろう。
くだらない喧嘩でどうして。
もし今でも仲良しであの時のままだったら、もしかしたら何かが変わってたかも、みかが入院しなくて済んだかも...。

いかなきゃ、あの時のこと謝らなきゃ。

きっと神様がタイミングを教えてくれたんだ。

こんな事件をいいタイミングなんて思っちゃダメなの分かってるけど...
今やれることはみかに会いに行くこと。

みかの助けが少しでもできたら。

私は○○病院へと急いだ。












.......誰かが見ていたとも知らずに。