ー廊下

俊さんの気持ち、どうやったら届くんだろう、千夏様に。


バンッ

「キャッ!」

何かが私に当たった。


「あら、大丈夫?ごめんなさい、前方不注意で」

わー、綺麗な人ー。

「大丈夫ですか?千里様。アメリカはどうでしたか?秋音様」

え、え?
アメリカ?
りゅ、留学?

私は俊さんの手を握り、立ち上がりながら驚いていた。

そんな私をよそに2人は話を続けた。


「俊、久しぶりね。そうねぇ。楽しかったわよ、まぁまぁ」


……まったく話が読めない。


「あ、あのー……」

「あ。ご説明致します。彼女は有村秋音。現副会長で来年4月からアメリカで開校される桜ヶ丘学園の下見に行かれてたんです」

「え、アメリカ!?」

何その海外進出的な話!


「この学園、結構有名なのよ。まぁそれは千夏様のおかげなんだけど。あの人、世間体では良い人演じてるけど、裏を見れば悪そのものよ」

この人も恨んでるのかな……千夏様の事。


「すいません、秋音様。私達これから授業がありますので、失礼致します」

俊さんは私の手を握り、足早にその場を去った。


「それは邪魔したわね」


あの顔と声、どこかで……。
それに有村ってもしかして……。

……まさかね。