千里saidー

そんな事があったなんて……。


「その彼女の名前は有村夏音様です」

え。
夏音先輩?

そっか。
だからあんな事。


祐助も分かってたんだ。
私がこんな目にあうこと。


「だからあんな事言ってたんだね……」

「あんな事?」

「言ってたんです夏音先輩!千夏様と祐助は結婚するかもしれない仲だったって!……あ」

私、何言ってるの?

こんな事言ったら……

「ご、ごめんなさい……私、俊さんの気持ち知ってるのに……」

俊さんが悲しむことくらい分かってるのに……。


「あ、あの千里様?」

「ごめんなさい!」

涙を流しながらその場を走り去った。


俊さんから逃げるように。