千里saidー

「辞めて……良かったんだよね。祐助も今頃喜んでるよね……。だから……ウウウ」

自分で決めた事なのにいざとなると涙が溢れる。


私やっぱり好きだよ……祐助……。


「千里、お客よ」

お母さんが私の部屋に入ってきた。

客?


「お客さん?」

「えぇ。亀本祐助って人。貴方一体どうやってあんなイケメンと知り合ったのぉ?」

……え。
祐助?


な、何で?
何で祐助がここに?


私は考えるより先に体が動いていた。



「祐助!」

玄関に行くと祐助の姿があった。


「学校に戻るぞ!」

「で、でも千夏様は?」

千夏様の事好きなんじゃないの?

戻らなくて良いの?


「なんか勘違いしてるみてぇだから言っとくけど、俺は別に千夏様の事好きじゃねぇから」

……え?
で、でも……。

「で、でも祐助は……」

千夏様の事話す時あんな悲しそう顔して……。


「俺は千里じゃねぇと嫌なんだよ」

……え?

今、『千里』って……。


「俺が仕える女は……俺の主は、千里だけなんだよ!」

ドキッ

「祐助!」

そんな事思ってたの?

嬉しい。


自然と涙が溢れる。


「とにかく学校戻るぞ!」

「うん!」

嬉し涙を拭いて、制服に着替え祐助と共に学校に向かった。