カチャッ

着いちまった。
千夏様の部屋に。

こんなはずじゃなかったのに。


「おかえりなさい。俊、祐助」

「……あぁ」

「では私はこれで失礼致します」


無理しなくて良いのに。

変な気使うなよ。



「久しぶりねぇ。こうやって祐助と2人っきりになるのは」

恋人どうしみたいな事言うなよ。


「コーヒー淹れるよ」

「ありがとう。祐助は何も変わってないわね。優しいところとか声の特徴とか」


「2週間ぐらいしか経ってねぇからな」


そんなすぐ変わってたまるかよ。


コトッ


「どうでしたの?千里さんの執事は」

何でそんな事いちいち聞いてくんだよ。
めんどくせぇ。


「大変だったよ。あいつ入学早いじめられてるし」

嫌味っぽく言ってやった。

千夏様を焦らす為に。


でも千夏様がそんな簡単に怯むわけもなく。


「そう。それはご苦労様」


少しも焦らず、他人事のように言った。


お前のせいだろ。