【短編】焼き芋と土曜日

「なくなったって、お金がもうからなくちゃだめじゃん。

芋の売り上げ、どうすんのよ」

口元を手で押さえ、笑いながら言った。

すると彼は、

「あー。やべえな。どうしようか」

本気で悩みはじめる。

だからわたしは、

「いくら?」

と口にした。

「うーん。二個で600円にまけてやる」

数秒考えて、彼が答える。

けれどわたしは、

「違うよ」と微笑み、

「全部。これ全部でいくらなの?」

屋台を指差して続けた。