【短編】焼き芋と土曜日

「んー。じゃ、もらおうかな」

ポケットから財布を取り出し、

「いくら?」

と訊ねた。

「いくらって? って。何個だよ?」

逆に、聞き返される。

「えーと。二個」

「おう! そんじゃ、おまけで五個あげよう」

新聞紙で作った袋に、手馴れた様子で芋を詰め込む。

「いいの? そんな勝手なことして? 怒られない?」

心配になって聞くと、

「あー。いいのいいの。だってよー」

顔を近づけて、耳元で囁かれた。

「これ、全部なくならないと帰れねーんだもん。寒いじゃん。だるいし」

「ばか?」

わたしは、思わず噴出した。