【短編】焼き芋と土曜日

勝手な想像をしながらも、

「すいません」

と声をかけた。

「はい、いらっしゃい」

ニット帽をかぶった男の人が、笑顔で答える。

それを見て、わたしは「あっ!」と大きな声を出す。

「おう!」

男の人も、負けずに大きな声を出した。

なんと、目の前にいるのは、高校時代の同級生ではないか。

それも、片思いをしていたサッカー部の嶋尾(しまお)君。

こんな格好で会いたくない人、ベスト3に入る人だったわけ。