【短編】焼き芋と土曜日

そんなわけで、わたしと彼は並んで歩く。

そして、家の前に着いた。

わたしは玄関のドアを押さえ、彼が何往復もして、

屋台の中の焼き芋が全て部屋の中に納まった。

「あー、疲れた。なんか、今日一日分働いたくらいに疲れた」

首をコキコキと鳴らし、わたしがコーヒーを入れるのを待っている。

わたしは薬缶とにらめっこをしながら、早く沸騰しないかなぁと思う。

今の状況を冷静に考えたら、恥ずかしくなってしまったのだ。

高校時代の片思いの相手が、自分の部屋にいる。

それも、大量の焼き芋を抱えて。

そこまで想像すると、おかしくて噴き出した。