その後、私と先輩の間には気まずい空気が流れた。
「すいません。忙しいので」
人生初の告白だからか、相手が超モテ男だからなのか、
私は困惑してしまい折角の告白を見事に無視してしまった。
未だにあれはなんかの間違いだと現実逃避している。
だってなんで先輩がよりによって私のことを好きになるんだ?
そんな機会も時間もないはずだし、
一目惚れなんてされる顔も残念ながら私は持ち合わしてない。
もしかして先輩のタイプは相当ズレているのか?
とかずっっっっと考えているけど
結局、導いた答えは罰ゲームだったということ。
それなら私に告白してきた動機も十分だ。
でも参った。
私はこういう類いの冗談は本当に許せない主義なのだ。
だんだんとムカついてきた。
まあ、まだ冗談だという証拠が必要だ。
だって勝手に誤解して怪我さしてからじゃどうしようもない状況に陥ってしまるからだ。
なんだってあの先輩には無数のファンがいるらしい。
変に関わってしまったら私のこの日常が保障できなくなってしまう。
という理由の元、私は必然的に先輩と話をさせざるおえなくなってしまった。
でも、わざわざ先輩に話しかけるのは気が引けるので
運命とやらを信じて先輩が話しかけてくるのを待つことにした。

それから3日が過ぎた。
今日、先輩が来なかったら、水に流そうと思っていたのだが
昼休みに先輩が教室まで来てくれた。
ちょっと軽卒な行動だったが悪気はないのは分かる気がした。
この先輩、めっちゃ単純なだけのかもしれない。
「ついて来て」
と一言、言うと一人でスタスタ行ってしまった。
私も急いでついて行く。
人気がいないとこまでくると、前を歩いていた先輩が振りかえった。
「俺、ちゃんと考えてみた」
「何をですか?」
「どうして無視したのか」
そう言うといきなり頭を下げて
「ごめん。ビックリしたよね?つい口にしちゃったんだ。でも好きって気持ちは本当だから。信じてくれませんか?」
この先輩、純粋だ。
でも私は一応、聞いてみた。
「罰ゲームなんですよね?人をからかうつもりなんだったらこれくらいでやめてください。本気で怒ります。」
わざとキツく言うと
「参ったなー。ね、どうしたら信じてもらえる?」
「先輩がモテなくなったら信じてあげますよ」
「冗談きついなー」
「先輩こそ。私に罰ゲームで告白しなきゃいけないとか哀れですね」
「だから、本当だって。本当に好きなんだって」
「そうやって『好き好き』連呼するから、いかにも嘘っぽくきこえるんですよ」
先輩に告白されるのが嫌なんじゃない。
私じゃなくとも誰だってこんなイケメンに「好き」なんて言われたら嬉しいに決まってる。
でもその言葉が、気持ちがただの嘘だったら・・ただの冗談だったらなんて考えると怖くなる。