「弟の嫁を大事にするのが
兄貴の役割だ。
いいか、麻衣。
セレブなんて
素直に信じるもんじゃない。
みんな敵だと思え。
表ヅラはよくても
みんな裏じゃ相手をどう蹴落とそうか
駆け引きしてるんだよ。」

私は寒気に襲われた。

「お前はそんな世界に
足を踏み入れたんだ。
今までのように
のほほんと生きてられないよ。」

陽翔ってすごく
いい加減な男だと思っていたけど
頭の中ではちゃんと考えてるんだ…



そりゃそうだよね。
森山家の長男だもん。

「あ…ありがとう。」

私はちょっと照れ臭くて
頬を染めてお礼を言った。

「そんな顔を俺に見せたら
あいつに怒られるぞ。」

陽翔は優しく笑って
私の頭を撫でた。
悔しいけど陽翔の優しさが
今の私の救いだった。