「貴方みたいな野良犬がどうして
森山グループに嫁げたのかしら?」

真央さんの顔に
穏やかな笑顔はない。



ただ冷ややかで感情を感じない
冷たい目。



「翔平さんに言うのかしら?
構わないわよ。
ただ、貴方がこの事を口にすれば
森山グループは大きな損害を
被ることになるでしょうね。」




「ど…どういうことですか?」

「貴方は
私達のストレス発散のおもちゃ。
それだけのことよ。
いいこと?貴方みたいな野蛮人が
翔平さんと結婚したことによって
翔平さんの顔に泥を塗っているのよ。」

「泥を塗る…?」

「そうよ。親が親なら子も子だってね。
森山会長が一般庶民と結婚した時
それはそれは非難を浴びたそうよ。
実際あの女は会長が亡くなるのを
心待ちにしているんでしょう?
今はおとなしくしているけれど
会長が亡くなってご覧なさい。
すぐに本性を表すわ。」

「由香里さんはそんな人じゃない!」

「あらやだ。庶民同盟?
貴方だってそうでしょう?
森山グループの財産を狙って
翔平さんに取り入ったのよね?
教えてちょうだい?
どうやって
あの女タラシのお坊ちゃんを
丸め込んだの?
貴方もしかしてベッドでは
すごいテクニックを
持ってらっしゃるとか?」

私はぐっと拳を握った。

この女に
思い切り平手打ちしてやりたい。
そう思った。