貴方に魅せられて3

「森山会長の御子息じゃないですか。」

一人の中年の男性が声をかけて来た。


高そうなスーツや時計…
金縁のメガネ…
この人もきっとすごいお金持ちだ。

「お久しぶりです。」

普段見ることのない
社長としての翔平さんの横顔は
大人の男そのものだった。

「この度はご結婚おめでとう。
君が奥さんだね。」

「は…はい。森山麻衣と申します。
主人がお世話になっております。」

由香里さんに教わった挨拶を
ガチガチになりながら必死にする。

「はははは。
そんな硬くならないでくれたまえ。
翔平くんもずいぶんと可愛らしいコを
見つけたものだねえ。
由香里さんといい君といい… 森山家は
若い女がお好きなようで。
それでは失礼…」


深々と頭を下げる。
今のは嫌味…だよね。