「シマコの昔話聞いたよ。」

シマコは手を止める。

「シマコ、辛い時期があったんだね。
シマコって明るくて
当たり前だと思ってたけど
昔からそうだったわけじゃ
ないんだね。」




シマコは懐かしむように微笑んだ。
少し悲しい笑顔だった。

きっと、シマコにとっては
消したい過去なんだろう。



「翔ちゃんにもゆかりんにも
本当に感謝してるの。」



再びシマコは手を動かす。

「後悔してない?自分の選んだ道…」

私の言葉にシマコが笑う。

「もちろんよ。とっても充実してるわ。
あの頃がなかったら
翔ちゃんにもゆかりんにもまいまいにも
出会えてなかったもの。」

ふと、シマコの表情が曇る。



「まいまい。高柳(たかやなぎ)
という男にはくれぐれも
気をつけなさい。」



シマコの声がいつもの明るさを
失って居るように感じた。