「…女として…生きる?」

由香里さんが微笑む。

「ご両親に打ち明けるのよ。」

「両親に…」

「シマコは美容師さんになるといいわ!
すごく美容に興味があるし
女の子と話すのもすごく好きでしょ?」

シマコはこくんと頷く。

「シマコの人生よ?
生きたいように生きなさい。」

由香里さんと翔平さんに言われて
シマコは考えた。

金持ちの家に男として生まれて
親の跡継ぎとして生きていく人生が
当たり前だと思っていた。

でも、シマコはそのレールから
外れかけている。

男として女の部分のある自分が
一生それを押し殺して生きて行くなんて
翔平さんの言う通り
できる自信はない。

家を出てでも
自分は自分のままで生きていきたい。

翔平さんに守られなくても
生きていけるように…