「ふふ。由香里です。」

ニコッと笑う由香里さん。

「し…島村さ…三郎です。」

自分の名前が嫌いなシマコ。
名前を告げて暗い表情になる。

「え?どうしたの?三郎くん。」

その名を呼ばれてまたピクッと
シマコが反応する。


それを見て
翔平さんが笑を堪えながら言う。

「由香里…
三郎って呼ばないであげて。」



由香里さんは首を傾げて
2人をリビングのソファーに座らせた。

「まぁ!いじめ!?」

翔平さんは由香里さんに
2人のいきさつを説明した。

「僕は…中学生の頃から
女の子の洋服や行動に興味がでてきて…
その…
男の子が好きな事にも気づいて…」

由香里さんは親身になって聞いていた。

「まぁ…辛かったでしょう?」

由香里さんは
シマコの手を握って言った。

「もちろん
ご両親にには言えずにいるのね?」

シマコはこくんと頷いた。

「自分の家では
男を演じています。」

「シマコちゃん、この家では
なにも隠さなくていいわ。」

「し…シマコちゃん…?」

翔平さんが由香里さんの
呼び方にピクッと反応する。