「金曜日のパーティーの事だけど…」

普段ニコニコしている由香里さんの
いつになく真面目な表情に
少し緊張が走る。

「麻衣ちゃんが
この世界に足を踏み入れた以上
避けることのできない場よ。」

「…はい。」

「森山グループに嫁いだ。それだけで
麻衣ちゃんには皆興味深々。
ただでさえ陽ちゃんはまだ独身。
弟の翔ちゃんが兄よりも先に
結婚を決めるほどの相手…
さらにそれで麻衣ちゃんに
注目が集まるわ。」

私の肩に力が入る。

「麻衣ちゃんは私と同じで
一般家庭の娘。
きっとたくさん嫌な思いをするわ。」

由香里さんは私の手を握った。