LOVE or DIE *恋愛短編集*

タイヤが何か小さな障害物に乗り上げ、車の重みが『ソレ』を押しつぶした。
硬い何かに覆われた、しかし中は柔らかい何か。

ぐしゃ、という感触が、シートの尻から、ステアリングから、アクセルペダルから伝わった。
その音を耳が捉えたのかどうかは今となっては分からない。
でもその音を『聞いた』と、脳は記録した。
そして頭の中で何度も再生される、音。

ぐしゃ、
ぐしゃ、
ぐしゃ、

「俺はアレで、蟹の呪いにかかった」

最重要ポイントを話し終わった途端、それまで気味悪そうに、心配そうに垂れていた彼女の眉の端が、ゆっくりと時間をかけて、歪に上がった。

「は、い?」

「いやだから、呪い」

最後まで聞かず、彼女は俺を置いてスタスタと歩こうとする。
うわ待て。
お願いだから川のそばに1人で置いて行くな。

「聞けって。その後洗濯機が壊れたり炊飯器の……なあ!」