LOVE or DIE *恋愛短編集*

仕方ないなぁ、と、呆れたような、でもどこか嬉しそうにはにかんだ顔で、彼女は肩を竦めた。

まあそんなワケで、避けたくても通らなきゃならない時はよくあった。
だけどそれ以来蟹が現れることはなくて、あの1回きりだったんだと油断し忘れはじめた頃だ。

2回目は、迂回するどころか1分1秒を争うデッドラインぎりぎりの時間だった。
ああ出た、と、赤く波打つ道を見て一瞬血の気が引くが、迷っている時間すら惜しかった。

思い切ってアクセルを踏んだ。
頼むから避けてくれと願って。
だってとにかく何度も言った通り数が多いし、動きが読めないからこっちが避けて走るなんて到底無理なんだ。

で、蟹の群れを蹴散らしながら、川沿いの道を走った。
俺の前に通過した誰かに轢かれた、ぺしゃんこのヤツもいくつかいた。
ハサミだけ落ちてたりとかね。

さすがに大通りまでは『ヤツ等』も登って来ないようだった。
もう少しで抜ける、と、気が緩んだ頃だ。