LOVE or DIE *恋愛短編集*

俺はいつも通りの時間に家を出て、いつも通りの道を通って出勤する途中だった。

例の川沿いの道を一面覆った、赤黒く蠢くゴツゴツとした何か。
ゴミかと思った。
川の水が溢れてゴミだけが残ったのかと。
でもその何かは、確かに動いた。

「え、何?わかんない。道一面って、大量ってこと?」

そう、大量。
まさに『蠢く』って表現がぴったりな、もぞもぞと、のろりとした動きだ。
ところが不意に中のひとつが猛スピードで道を横切ると、周りの『ヤツ等』も触発されたみたいに一斉に走り出した。
右に、左に。

ヤツ等、ゴミなんかじゃない。
生きている、と、俺は漸く理解した。

踏んづけたくないな、と思い躊躇っていた俺の車を、後ろから来た車が追い抜いて『ヤツ等』を蹴散らしながら走っていった。
『ヤツ等』は車の音には反応しない。
ただ直前で気配を感じるのか、ギリギリまで迫ると蜘蛛の子を散らすみたいに逃げる。
その瞬間だけもの凄く動きが速いが、やっぱり初動が遅いから、轢かれるヤツもいた。