「ばぁか、何やってんだよ」
小さな彼女の身体は、すっぽりと俺の胸に収まる。
抱きとめた腕を回してコツンと後頭部を小突くと、ごく至近距離で俺を見上げた彼女は「へへ」とはにかんだように笑った。
ポニーテールが微かに揺れて、シャンプーの香りが鼻腔をくすぐる。
ああ――懐かしい、この匂い。
マズい、こんなとこで、と、逡巡したのはほんの一瞬。
小学生の一団は、とっくにコースのずっと先まで行ってしまった。
花を愛でに来た老夫婦はこっち側までこないし、小さな子供連れの母親たちはもっと開けた芝の広場にいる。
犬の散歩やジョギング中の中年オヤジは、遊歩道から外れてこっちに入ってくることもない。
辺りには誰の声も物音もなくて、ただ腕の中にいる彼女と自分の鼓動だけが重なった。
アパートに着くまではと思ってたけど……、禁断症状は、自覚の度を越えてギリギリまで来ていたようで。
見上げてくる瞳に、吸い寄せられるように。
小さな彼女の身体は、すっぽりと俺の胸に収まる。
抱きとめた腕を回してコツンと後頭部を小突くと、ごく至近距離で俺を見上げた彼女は「へへ」とはにかんだように笑った。
ポニーテールが微かに揺れて、シャンプーの香りが鼻腔をくすぐる。
ああ――懐かしい、この匂い。
マズい、こんなとこで、と、逡巡したのはほんの一瞬。
小学生の一団は、とっくにコースのずっと先まで行ってしまった。
花を愛でに来た老夫婦はこっち側までこないし、小さな子供連れの母親たちはもっと開けた芝の広場にいる。
犬の散歩やジョギング中の中年オヤジは、遊歩道から外れてこっちに入ってくることもない。
辺りには誰の声も物音もなくて、ただ腕の中にいる彼女と自分の鼓動だけが重なった。
アパートに着くまではと思ってたけど……、禁断症状は、自覚の度を越えてギリギリまで来ていたようで。
見上げてくる瞳に、吸い寄せられるように。



