LOVE or DIE *恋愛短編集*

しんちゃんが作ってくれたのは、アサリを使ったパスタだ。
フライパンからちょっとだけ火が上がって私は歓喜の声をあげたけど、本当はもっとぶわっと炎が上がるのを見せたかったらしい。

「やっぱ業務用の火力がないとダメかー」

としんちゃんはちょっと唇を尖らせた。
でも、私から見たら十分カッコいい!


私はその隣で、簡単なサラダを作った。
洗って切って盛り付けるだけの、恥ずかしいくらい簡素なヤツ。
それでもしんちゃんは「美味しそう」と喜んでくれた。


狭いキッチンで並んで料理をしていると、なんだか新婚さんみたい。
すっごく楽しくて、浮かれていた。


それから小さなテーブルを2人で囲んで食べたお料理も、しんちゃんがこっそり用意してくれていたシャンパンも、幸せ気分を盛り上げる美味しさだった。


「ねえ、ごめんねしんちゃん……」

食べ終わったお皿を片付けて、その後もまったり話しながら飲み続けたシャンパンのボトルが空になる頃に、漸くその言葉が出た。

「ん? 何が?」

と、しんちゃんは甘い顔で笑う。

こんな優しくてカッコ良い人が、ホントに彼女いない歴イコール年齢なんだか怪しくなってきちゃうよ。


「あのね、今日バレンタインデーだったのに……私、こんなことになると思ってなかったから、何にも準備してなくて」


実はバイト中からずっと気になっていた。
でもあのバイト先で用意出来るチョコと言えば例のミニチョコサンデーくらいで、すぐに溶けちゃうアイスは持ち帰りできるようなものじゃないし。

だから、日を改めてちゃんとしたものを用意しようって決めたのだけど。


しんちゃんはシャンパンまで用意してくれていたのに、手ぶらなのがもの凄く申し訳ない気分だった。