「さん、はい」で

鏡に向かう指先は

ばれない程度 ちょっと後出し



良かったね

みんなの好み バラバラで

真ん中と右 私は左



本当は違うんだけど

まあいいか

余りものには福があるかも



スリーペア

そんなトランプみたいにさ

上手くいったら 幸せだよね



よしてよね

自分たちだけはしゃぎなよ

無理矢理こっち 巻き込まないで



しゃあないか

隣に座ったこのヒトに

罪はないんだ 当たっちゃだめだ



「ごめんね」と

眉尻下げたその人が

「嫌なら別にいいよ」と笑う



空気読め

心で悪態吐いたけど

苦笑いして グラスを鳴らす



「本当は誰が良かった?」

聞かれても

困るんだよな 初対面って



なんでだろ

意外と落ち着くこの場所は

隣のヒトのおかげなのかな



バイバイと

手繋ぎながら去る人を

見送ってから 顔見合わせる



「送ってく? それともどこか」

どこかって?

見上げた私 見下ろすあなた









「合コン、ホントは苦手でしょ」

「バレてた? ただの付き合い」

「俺も。つまんなかった?」

「……そうでもない」

「俺は、今日は来て良かったけどね」

「……なんで?」

「聞きたいの?」

「うん」

「……どーしよっかな」









はにかんで笑った人の左手に

指先絡め

背伸びしてみる