LOVE or DIE *恋愛短編集*

「日野」

なんて言っていいのか分からずに、無意味に名前を呼んでしまう。

すると彼女は、おかしそうに笑った。


「【佐野】と【日野】って、似てるのね。気付かなかった」

そう言われて初めて、笑われた原因に思い当たる。
そんなことは考えたことがなかったが、改めて言われると確かにおかしく感じて悠太も笑った。


「なにやってんの?」

「うち、ここから近いのよ」

―――そうなのか、知らなかった。

「佐野がこの辺走ってるの、私知ってたよ」

「はいっ!?」

ギョッとして彼女のほうを振り返る。

「たまたまね、ここで顔洗ってるとこ、見ちゃった」

と、何故か彼女は少しすまなそうに言った。

見られてたのか―――と、気恥ずかしくて言葉を失う。


しばらく無言でいたら、そう言えば花火の日、この少女の様子がおかしかったことをふと思い出した。