LOVE or DIE *恋愛短編集*

―――なんでお兄ちゃんは、急にあんなことを言いだしたのだろう―――。


自分の部屋に閉じこもると、佳織は小さくため息をついた。

【一人暮らし】を始めるのは、まだ半年以上先のことだ。
確かにその資金繰りと言ってコンビニで働かせてもらっているが、いやいややっているわけではない。
常連のお客さんとの会話も楽しんでいるし、そうでなくても、人間観察は好きだった。
客が減る時間帯はどうしても暇を持て余していたが、最近では佐野 悠太という中学生が毎晩立ち寄って話し相手になってくれている。
彼と話していると、自分が中学生の頃を思い出す。
いつも一生懸命で、部活に打ち込んでいる、彼の話を聞くのは楽しかった。


そう、佳織は楽しく働いていた。


それなのに―――。


『地元を離れる心構えを始めたほうが―――』


兄の言葉がよみがえる。

何も、地球の裏側に行くわけじゃない。
なんて大げさなことを言うのだろう。
まるで、二度と地元に戻ってこれないような―――永遠の別れになるかのような表現をする兄を、恨めしく思った。