「なあ、お前の妹、中学生と付き合ってんのか?」

「はあ?」

2階の友人の部屋へあがり込むなり祐輔は質問を浴びせたが、彼は何を言ってるんだとばかりに怪訝な顔をした。

「佳織が中坊と?ないだろー」

想像すらできないのか、彼はゲラゲラ笑いながら否定する。
だが急に真剣な顔になると、ずいと祐輔に迫ってきた。

「なんだよ」

「なんだじゃねえ、何でそんな事聞いたんだ」

久しぶりに友人の鬼気迫る顔を見て、祐輔は少しだけたじろいだ。

「彩萌の・・・妹の同級生が下にいて、ちょっと親しそうに話してただけだよ」

今見てきたばかりのことを話すと、彼は「ならいい」と大人しく下がった。

「お前、何ムキになってんだ」

「変な男につけ狙われてんじゃねえかと思っただけだ。店の中で友達と楽しくおしゃべりするくらいなら別にいい」

彼はそう言ったが、他に何かありそうな気配を祐輔は感じ取る。

もしかしたら妹の恋路を邪魔するつもりか、はたまた佳織には別に男がいるとかか?
だが、友人はこの話を終わりにしたい様子だし、そこへ突っ込んでまで聞く気は起らなかった。


―――ま、別に俺には関係ないけど・・・
つまんねえことで悠太が泣かなきゃいいけどな―――