ついこの間も「だれが美人か」なんて変な質問をしたばかりだ。
ここで「ピンクの夢を見た」なんて発言したら、雅樹あたりに一気に【妄想狂】やら【エロい】やらと騒ぎ立てられるに決まってる。

そもそも、夢の内容自体、とても誰かに話せるものじゃなかったのだ。


「いいよ。何で俺の精神状態をお前に分析されないといけねえんだよ」

と、彼女の申し出を断った。


しかし、言われたことは頭から離れない。
夢占い、か。
後で調べよう、と、悠太はしっかり脳内メモに書きとめた。


彼女はそれ以上追究しようとはせずに大人しく引き下がったが―――、後から、悠太が1人のときを見計らって近寄ってくると、こっそり耳打ちした。

「明日、本、持ってきてあげるね」

正直助かった。
そんなタイトルの本を買うのも借りるのもはばかられるし、悠太の家のPCはインターネットにも接続されていない。
だが、どうしてそこまで、と驚いて彼女の顔を見返した。

「私、結構夢に悩まされてたの。自分の精神状態が分析できるって、意外といいことよ」

悠太の心を読んだかのように、彼女はそう説明した。