「つーか、いきなりどうした?変な夢でも見たか」

純也の質問に、一瞬詰まる。
丸々すべて話すのは気が引けた。

「いや、俺今まで白黒の夢しか見たことなかったのに、今朝の夢に色がついててさ」

それで済ませたかったが、案の定、雅樹が食いついてくる。

「へえ!何、どんな夢!?」

「あんま覚えてねーんだよ」

夢がカラーだったところで、異常事態ではない。
それが分かったのだから、これ以上夢の話を引っ張りたくなかった。


ところが、すぐ近くの席にいた女子が話に首を突っ込んできた。

「ねえ、それって何か意味があるかもよ。夢の色って、感受性とか精神状態に左右されるんだって」

「は?お前、詳しいの?」

「前に変な夢続けて見たことがあって、気になっちゃったから夢占いの本買ったの」

と、彼女は嫌な夢を思い出したのか眉根を寄せた。

「色付きって、フルカラーじゃなくて、単色だった?」

悠太は軽く頷く。

「ならその色に意味があるかも。何色?」

調べてきてあげるよ、という彼女のその質問に、悠太は口ごもった。


―――ピンク、なんて、言えるか。