同様にその不自然な声に気付いた2人も顔を上げ、真っ先に雅樹が「ああ、朝のおねーさん!」と無遠慮に指をさした。

彼女は気を悪くした様子もなく、

「部活帰り?お疲れ様」

と言って笑った。


性格が悪いようには、とても思えない―――。
店員の客に対する態度としては、イマイチなのかもしれない。
だが、自分たちが中学生と分かっての、親しみを込めた対応だった。


―――よく、覚えてんな。


日に2回来る客なんて、そう珍しくもないだろう。
彼女は2回目に来る客には、いつもこうも親しげなのだろうか。
それとも・・・自分が小銭をばらまいたから、印象付いたんだろうか。
自分の失態をまたしても意識してしまい、急に恥ずかしくなる。
急激に赤面しそうな予感がして、レジから視線を背けた。


「おねーさん、から揚げ!」

雅樹が真っ直ぐにレジに向かいそう注文する。
彼女はクスクス笑いながら、「また?」と尋ねた。

「今度はチーズ味!」

そのやり取りを背中に聞きながら、なんだ、覚えているのは俺のことだけじゃないんだ、と、落胆している自分に悠太は気付いた。