「え・・・、どういう関係?」

恐る恐ると言った感じで、友人の1人が尋ねてくる。

「幼馴染・・・つーか、彩萌が幼馴染で、その兄ちゃんだよ」

と、悠太は簡単に答えた。

柏木 彩萌の兄、祐輔も、悠太にとっては幼馴染に違いないのだが、7つも年上の彼を【幼馴染】と呼ぶのはなんとなくはばかられた。

「祐輔さんは、別に理不尽に人を殴ったりしねぇよ。ウワサに尾ひれがついただけなんだから、下手に騒ぐな。彩萌のことも、変な目で見るなよな」

柏木 祐輔のことを【伝説のヤンキー】みたいに恐れるウワサが未だに残っていることは、悠太も知っていた。
何となく雰囲気が悪くなるのを避けたくて、ボリボリと頭を掻きながらぶっきらぼうにそう告げると、悠太は足早に教室へ向かおうとする。

だが、悠太が伝えたかったこととはまったく違う部分に食いついた友人は、ニヤニヤしながら悠太の肩に腕をまわして引き止める。

「うわっ!なんだよマッキ!」

少しばかり自分より背の低い友人―――佐伯 雅樹に強引に肩を組まれたため、悠太はバランスを崩して雅樹の方に傾いた。

近寄った悠太の耳元に、雅樹は小声でささやく。

「かばっちゃってぇ。やっぱり柏木とそういう関係?」