『いつか日本一周』
私たちの『端っこめぐり』は、学生時代最初の四国旅行の途中で、無計画に突然始まった。
中塚弘樹の名前を私が初めて見たのはその時だ。
【いつか日本一周!目指せ全端制覇!】
鉛筆書きでうっすらと。
小さな落書きだった。
高知県足摺岬の灯台の壁に、私はそれを見つけた。
『ねえ真希。せっかく四国最南端踏んだんだからさ、次、ルート変更して最北端も行こうよ』
『端っこめぐり!? いいね、面白そう』
『これからさー、一緒に日本中の端っこ旅しよう』
『いいねそれ! 日本一周だね!』
『一気には難しいけどねー、何せスタート地点がど真ん中だし』
『あはは、言えてる! でもいつか、してみたいねぇ』
『うん、2人で日本一周!』
『約束だよ』
『いつかね、いつか!』
『うん、必ず!』
中塚弘樹の名前を、端っこを訪れる度に密かに探していた。
私たちの旅に新しい目的を付加した彼が、どこまで制覇しているのかを確認するのは、真希には内緒の私だけの楽しみだった。
1年後佐多岬で名前を見て、その日駐車場ですれ違ったのが彼だと気が付いた時には興奮した。
函館でフェリーから降りて行ったバイクを確認して、その彼と宗谷岬で遭遇して。
Twitterに新しい『端っこ』画像が追加される度に、興奮していた。
真希の遺骨を分けてもらったその日、私は初めて、Lokiにコンタクトを取った。



