次の日の朝方。


俺はいつもの様にジャージに着替え、まだ日の出ぬ町中をジョギングしていた。


健康のためと、中学1年になった時からの日課にしているのだ。


「ふぅ…今日もいい汗かいたな」


少し休息を取るために、ポシェットに入れておいたスポーツドリンクを口に含む。


タオルで汗を拭くのも忘れない。


「…ん?」


そこへ前方から人が歩いてくるのが見えた。


(こんな朝早くに人が歩いてるなんてなぁ)


今まで、この時間帯にすれ違うのは近くにある商店街がらみの業者のみ。


一般の人には会わなかった。


(ふらついてるし、酔っ払いかな)


俺はそう思い、一応声をかける。


「おはようございます。あの、ふらついてるみたいですけど、大丈夫ですか?」


「う……あ……あ」


何やら呻き声っぽい。


もしかして、かなりヤバい奴か?


「大丈夫ですか!?」


大きめの声で再度呼び掛ける。



「あ……あが…が……!!」



おいおい、これはヤべぇ。


ガチでイカれてやがる。



(こんなの、俺の手に余る。救急車呼ぼう)


とっさに携帯を手にする。