失踪後、プロデューサーが黒川から良太に変わったのだが、良太は黒川の音楽性やリズムパターンを完全に踏襲し、いつでも彼が戻ってきたらバトンタッチ出来るような状態にしているのである。

 そのためにyumikaの後継には黒川が見つけてきたあの二人にしたし、自分が前面でプロデュースしているというのを押し出さないでいるのである。それだけ良太は黒川の天才的な才能と人間としてすべてに尊敬しているのである。

 良太は黒川の下、5年働いてきた。良太は学生時代に音楽に対する独創性がないことを気づいていたので、たまたま先輩であった黒川に師事し、事務所も黒川のいる事務所に就職したのである。

 そこで彼は黒川の仕事を手伝っていた。良太はとにかく腕と耳が良く、黒川の弾くピアノを数度聞くだけで完全コピーできるほどであった。そしてまっすぐでまじめな性格が黒川に気に入られて重要な役も任されているのである。当然社長の笹野もそれをわかっているから今の地位を与えている。

 CDの売り上げも順調でいろいろな場所で彼女らの曲を聞くことが出来た。