『そんな顔をしないで、人魚姫。』 風が吹き、木々の音が鳴る。 『あなたは笑顔が一番似合うわ。』 『人魚姫は幸せになるためにもう一度命をもらったの。』 『僕たちはずっと人魚姫の見方だよ。だから、泣かないで』 優しくあたしの体を包んでくれる風。 ごめんね、こんな弱虫で。 いつもこうしてあたしのこと励ましてくれているのにね。 朔の事、諦めたわけじゃないんだよ。 誰よりも大好きだって自信はある。 でも一方的に好きじゃ、駄目なんだよ。 好きを押し付けちゃ、駄目なんだよ―