真珠の涙




「ならうちも・・・って愛海ぃ!」



亜季を置いてあたしは裏庭に向かう。



朔に近づかないで、っていえばいいのに。





新田さんはあたしの事覚えていないし、

困ることはない。



あたしが朔のことを好きだって学校中の噂になる位、

泡になって消えるよりも断然いい。




もう、話すことが出来るようになったんだから、

言えばいいのに。





あの時みたいに、伝えられないわけじゃないのに・・・





朔の好きな人をあたしが決めることなんて出来ない。



あたしが泡になろうがなかろうが、朔には関係ない。






鼻の奥がツンとする。




泣いたって意味がないのは分かっているのに、

この悩みを誰にも話せないのが



辛くて、


苦しくて、



涙が出る。



どうすれば、楽になれるのだろうと何度も考えた。








でも結局、あの時と同じ考えになってしまう。