「新田さんと松本君はどこで会ったの!?」
「海辺よ。松本君、海辺に倒れていて、私が助けたの。」
「へぇ!」
「それで、海辺の近くに住んでいた松本君の・・・
というか王子様のお屋敷に招待されて、
その時私一目ぼれしたの。
松本君も、私のこと好きになってくれて・・・」
聞きたくないのに、聞こえてくる話し声。
その話の中にはあたしの事なんて1つも出てきていない。
少し前世のことを覚えていると言っていたから、
朔と自分の事しか覚えていないと思う。
現に、あたしを見ても何も思わなかったみたいだし。
そこまで話したら童話の人魚姫の話に似ているって思う人もいるだろうし、
覚えてもらっていると困るけれど―
「ちょ、愛海どこ行くのー?」
「トイレ行ってくる。」
