引き止めるつもりなんて全くなかった。
それなのになぜか「待って」と言ってしまった。
「なに?」
自分より大きな身長、一歩の大きな足、キレイな字を書く手。
全てが一気に飛び込んでくる。
固定された視線。
小4の頃は目を見てくれなかったのに。
もう喉まできてる2文字。
飲み込もうとしても全く呑み込めない。
気が付くとその2文字は勝手に私の口から出て行った。
成島くんは驚いてる。
こんな事言うつもりなんて無かったのに。
成島くんは言葉を発する。
でも聞こえない。
耳がキーンとしていて何も聞こえない。
成島くんは再び私に背を向けて図書室をあとにした。
もう引き止めれない。
まるで、手の届かないスキマに成島くんが入って行ったような…。
そんな意味不明な気持ちのまま小学校の卒業式は終わっていった。


