朝起きると、星矢さんはもういなかった。


備え付けの壁時計はまだ朝の8時。


こんな朝早くから仕事だろうか。




リビングに降りると、そこもまた静まり返っている。

壱矢さんも星子さんも、昨日は泊まりだと言っていたよね…。





「おはようございます、美園さん」

「あ、おはようございます…」



誰もいないってわけではなく、執事さんはいた。




「御朝食の用意は出来ております。それと星矢様からの伝言で、今日は誰もいないからご自由にして良いとことでした。これを…」



執事さんから渡されたのは、封筒に入ったお金。



あたしは思わず、ハッと顔を上げた。



「あのっ…これっ!」

「星矢様からご自由にと言われておりますので、ご自由にお使いになられて良いのですよ」