ここから地元まで、特急を使えばそんなに時間はかからない。



気晴らしにお買い物でもしようか。

お金ならたくさんある。



…そんなことを思い浮かんだけど、その気になんてなれるわけない。





「ねぇ、君。今ヒマ?」

「えっ、」

「ちょっと付き合ってよ」

「え、いや、」



明らかにナンパ。

いくつものピアスに、揺れる金髪、チャラそうな男。




「やめてくださいっ…!」



腕を掴まれ、その腕を離そうとして、大声を出した。



さすがに人混みの多い街。

物珍しそうに人の目がこっちに向く。




「チッ」



明らかに嫌そうな顔になったので、あたしはとにかくその場から逃げる。



とにかく必死だった。