「ねぇ、ねぇ、茜ちゃん!茜ちゃんて翔太君の事が好きなの?」
「えっ?」
「だって茜ちゃんいつも翔太君と帰ってるし、仲良いよね。」
「別に好きとかそんなんぢゃないよ。
翔太はただの幼なじみだよ。」
「あっそうなんだ!よかったぁ!」
「実話、私翔太君の事好きで、茜ちゃんが仲良いからもしかしてって不安だったんだよねぇ。」
「ぢゃあ茜ちゃん私の事協力してくれる?」
「協力って?」
「んんー。例えば好きな食べ物とか?どんな子がタイプだとか?」「翔太君の事色々教えてほしいな。」
「うん。わかった。」
私は夢を見た。クラス1可愛い女の子。松崎まゆちゃん。それは私が小学5年で、翔太の第一次モテ期の事だった。図書室でたまたま一人でいた私に話しかけてきたのだ。夢はそこから途切れて何故か「茜ちゃんの嘘つき!」っと涙目で私にまゆちゃんが言った一言で目が覚めた。
何故まゆちゃん泣きそうなの?
私何かした?ともやもやしたなんとも気分のよくない目覚めだった。
ぼーっと現実に引き戻されて行くと、あの頃の幼かった私を私は思い出そうとした。だけれど、第一次モテ期の翔太の事で何人かに同じような事を聞かれハッキリと思い出せず、ぼやけたままだった。
ただ、あの頃何故か翔太と仲良くしていると、協力と言う言葉が浮かんで、いつからか、私の方から翔太への距離を離していったんだ。帰りも別々、家にも遊びにも行かない。そんなうちに、中学に入りお互い部活だったり、同じクラスになる事もなかったから会話もほとんどしなくなってしまっていた。いつしか翔太は学校でも目立つ存在になっていたから、ますます翔太が遠くにいるような、。
私は幼なじみから、ただのお隣さんになっていた。
私は持っていた携帯でぼーっと時間を確認し、思いのほかそんなに眠っていなかった事にホッとした。
しばらくぼーっとしたまま携帯を見つめる。
「おーい。飯。」
「はーい。」
私はぼーっとした目をこすりながら翔太とリビングへ向った。
「何?寝てたの?」
「うん。三時間ぐらい寝た感じするぐらい寝た。」
「1時間で三時寝た気ならお得だな。」
「うっ?うん。」
「ほんと二人は小学生みたいな会話してるのね。」
お母さんがクスクスっと笑うと、弟の誠が「ほんと色気ねーなぁ二人は」と飽きれた顏で言うから思わず翔太と顏を見て笑ってしまった。