昼休み。


「ねぇ、なんで口で言わなかったの?」


「苺、来てくれたんだ。」


倉科遥は嬉しそうに笑った。


あ……。


倉科遥、愛想笑いじゃない。
普通に笑ってる。


「んー。
手紙って2人だけの秘密の会話みたいで
しょ?」


「バカでしょ。」


「私に何の用?
手紙に書くくらいなんだから、なんかあるんでしょ?」


「苺と話したかっただけー♪」


ドキン


なんで、そんな嬉しそうな顔するわけ?


その顔も嘘なんでしょ?


お願いだから、私の中に入ってこないでよ。


「なんで、私に優しくすんの⁉︎
女の子ならほかにもいっぱいいるじゃん‼︎」


「苺に優しくしたいんだ」


バカでしょ…。
もう嘘つかないでよ…。


「なんで私にキスしたの⁉︎
アンタ、彼女なんか作らないんでしょ⁉︎
最低…っ‼︎」


やばい…泣きそう。
泣きたくなんかないのに。


ふわっ


え…。


なん…で。


なんで、私、抱きしめられてるの?


倉科遥の香りが鼻をくすぐる。


私の…好きな香り。


あったかいなぁ。


「って!
いきなり何するの⁉︎
離してよ‼︎」


「離さねー‼︎」


倉科遥は抱きしめる力を強くした。


「わりぃな。
たしかに彼女は作らないって言った。
それは俺の本心じゃねーよ‼︎」


「どうせそれも嘘なんでしょ⁉︎」


「あの場でああゆうしかなかった。
俺の周りにいる女子達は、俺と話してる時は可愛子ぶってるが、裏で何してるか分かんねー。」


あ…。


「苺があいつらのターゲットになったら、俺の知らないとこで苺が危なくなるかもしれねー。
それだけはイヤだった」


あの時…、私を守ってくれたの?


たしかに、とりまきの女子達は私の事をにらんだ。


噂でもあの女子達を怒らせて、痛い目をみた女子達がいっぱいいるときく。


いじめがひどすぎて、転校した人もいるみたいだ。


私もそんないじめは耐えられない。


倉科遥はそこまで考えてくれてた…。


「俺が好きなのは苺だけだ。」


ドキン


「バカ…」


そう言って私も抱きしめ返した。