「そいつがいいヤツだっなら、なんで『もう恋なんかしない』って言うんだよ」
お願い。倉科遥。
これ以上、思い出させないで。
「やっぱ過去に何か……」
「ほっといてよ‼︎」
倉科遥の言葉をさえぎる。
「アンタは知らなくていい事なの‼︎
これ以上、私の中に入りこんでこないで‼︎」
こらえていた涙があふれてきた。
こんなヤツの前で泣きたくなかったのに…っ‼︎
倉科遥は私の手を無言でつかんだ。
「え?」
つかんだと思ったら、私の身体がついていかないスピードで走り出した。
「え?
ちょっと待……」
あれから、ついていくのに必死でどこを走ったのかも分からない。
もうとっくに17時30分はこえているだろう。
倉科遥が急にとまった。
そこはどこかの路地裏だった。
人は全くいなくて、薄暗い。
「ハァ…ハァ……
いき…なりっ、なん…で走るの……?」
息が切れて、うまくしゃべれない。
「こんなとこ連れてきて、何するつもり⁉︎」
ずっと走っていたから、涙がとまっていたけど、また涙が流れる。
倉科遥はそっと人差し指で涙をぬぐってくれた。
どんどん倉科遥の顔が近づいてくる。
キス…⁉︎
