甘党姫のお気に入り




「なにあのウブな反応。」


「は?
今なんか言った?
もう一回殴られたいの?」


「めっそうもございません」


私は笑顔のままで握りこぶしをにぎりしめた。


その笑顔に倉科遥は青ざめる。


よっぽど私のビンタが痛かったんだろう。


あれ、けっこー軽めなのに。


「でも、苺にも彼氏くらいいただろ?」


「なんでアンタに教えなきゃいけないわけ!」


「クレープおごったんだし、いーじゃん」


「ぅ………。
彼氏くらいいたし…。」


「そいつ、ヒドイやつだったのか?」


「そ…そんなことないっ‼︎
優しくて、かっこよくて……
………………ッ‼︎」


一瞬、過去が頭にフラッシュバックした。


思い出したくもない過去。


「いい人………だったよ」


思い出しちゃダメ。あんなヤツのことなんか、忘れなきゃ。


また涙が出てくるから。