父は肺を患っていたんです。


 咳は酷くなる一方で助かる見込みはありませんでした。


 父は腕の立つガンスミスで

 「銃のアルケミスト」と呼ばれる程の人だったので、


 あの時も、そして今でも父を訪ねに多くの人がやって来るんです。



 しかし、どんな仕事もやってのけた父が最後まで遂げられなかった仕事があると悔しそうに私に言って来たのです。


 それはある銃のグリップに関する話でした。




 ここに日記があります。


 父は大きい仕事があると必ず日記に仕事の進行状況を書き込むんです。


 その銃に関するのは、

 
 ここからです。