それからの私は変わっていったんだ。


 娼婦達をまとめ上げ、ビルを追いやり、

 店を切り盛りするようにまでなった。


 嫌な客にも、歯向かうビルにも彼の銃を向けてやったよ。


 それでギャンブルや酒や女で馬鹿な男から金をむしりとっていってやったんだ。


 もう来ないと思った彼は、

 私の勘を裏切って何度か寄ってくれてね。


 お陰で私をからかう男はいなくなっちまった。



 今じゃ誰もが私の前で帽子を脱ぐんだ。

 

 でもある時からぱったりあの人は来なくなちっまったのさ。

 
 覚悟はしていたし、それでも良いと思える人だった。




 この店の名前かい?


 そうさ、

 この女胴元の唯一愛した男にちなんでね。



「ハートを撃ち抜く伊達男」



 誰に言ってもかまやしないさ。


 馬鹿にするならすりゃあいい。


 それ位、恥ずかしく無い、
 
 いい男だった。