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「被害者の身元は?」
「被害者は若鷺花江、38歳。勤め先は……」
部下の新谷の報告を聞きながら
俺は今回見つかった遺体を観察する。
……エグい。
ざっと見たところ
刺さっているナイフは10以上はある。
警部補、八雲誠人は
見たことも聞いたこともない残酷な刺殺体を前に
同情しつつ、いつもより張り切っていた。
25歳という年齢で警部補となった
いわゆるキャリア組の彼は
つい2ヶ月前に警視庁捜査一課に配属された。
「ん?」
誠人は遺体の下に黒のガードを見つけた。
鑑識に頼んでとってもらう。
そこには白い、check mateの文字があった。