「はぁー!疲れたー!」
私は大きなため息をついて、ゆっくり机の上に頭をのっけた。
たったいま、授業が終わったトコ。
「守歌!あそぼ〜?」
親友の日和が、元気良く話しかけてきた。
「なんでそんなに元気なわけー?」
「えー?」といって日和は踊りながら「はやくーはやくー」と歌っている。
そして帰ってきたテストをとって大きな声で言った。
「えー?もー!守歌ったら!35点!?」
私は慌ててテストを引っ張ってとった。その結果テスト用紙は敗れてしまった。
「ご、ごめん」
日和はすぐ素直に謝った。
「別にいいいよ」
逆に破れたら親に隠せるかも…?そう思っていたからだ。
外では男子がサッカーをやっている。このクラスはすぐ校庭がそこなので、男子が走るたびにビュンと風が吹く。
真夏のような暑さで、男子は汗をかきながら制服でやっている。
(バカ男子!)
私はずっとそう思いながら見ていた。
そんななかで、何回もゴールを決めている人がいた。
隣のクラスの、宮岡隼人だ。学校一のイケメンらしい。性格も優しいので、人気が高い。
「なんだなんだ守歌?ついにかっこいいと思ったか?」
「はい!?」
私は慌てて言った。恋なんてしたことないし。もう高1なのになあ〜…
「いいじゃん?可愛い守歌にはピッタリだとおもうけど。」
「あんなモッテモテなのに好きになったら絶対無理でしょ!」
笑いながら私は言った。
あの学校一の美女の清水萌先輩も好きなのに。それに、この学年では一番可愛くてずる賢い浜崎文乃ちゃんも好きだし。もう数々の人を騙してるよ…
そう考えていたら、サッカーが私の顔面に当たった。そして、ある男の人が走ってきた。宮岡隼人だ。
きた途端、周りの女子たちがキャーキャー騒ぎ出した。
(もーうるっさいな!)
私はあんな風にみんなで騒いでる人のことがよくわからない。ライバル同士なのに、なにが楽しいんだか。
「ごめんねー!君、確か永原守歌だっけ?よろしく!ありがとう!」
なんだ。意外にかっこいい。
そう思った瞬間私は「ぎゃあっ」と叫んだ。
(こんな人好きになってどうすんの…)
そして、隼人が去って行くのを私はジッとみていた。