「タカは、宝…だよ。」

「…え?」

「みんな、タカが好きだよ。優しいタカが大好きで、宝物みたいに思ってる。

俺だって…そうだよ。勝手に、捏造して悪いけど、タカの親は、きっとタカがみんなに宝物みたいに愛されてほしいって思ったんじゃないの。

側で愛してあげられない代わりに、たくさんの人に愛されますようにって、そう思ったから…宝なんだよ…」



見たこともないタカの親。

だけど、宝なんて名前つけといて、なんの感情もタカに抱いていなかったなんて思えない。

少なくとも、

後腐れがない方がいいなら、名前なんてつけない方がいいんだ。



「俺も、ここにいるみんなも、クラスのやつも、あとさっきのアザミも、

タカのこと宝だって、思ってるよ」


タカは、そのとき、たぶん俺の前で初めて泣いた。

静かに息を殺すように。


肩の重みが愛しかった。


だけど、それはすぐに消えてしまいそうなほど、脆いものだった。


俺が思ってるよりもずっと…


支えてやりたい

なんでもしたい


タカのためなら



俺は……




たぶん、なんでも、できると思うよ。