その声に、俺は自分の心臓も弾けとぶ気分だった。

まさか、だった。


こんなことが本当にあるのだろうか。

けど、あった。



俺は、また、彼女と再会したのだ。




「タカラ姉ちゃーーーーん!!はーーやくーー!!」



タカは、こちらを向くと目を見開いていた。

信じられないといった表情だった。

無理もない。


俺がタカと会ったのはここと遠くかけ離れた場所だ。

彼女がまさか俺がこれから住む家から飛び出してくるなんて思いもしなかった。

きっとそれは彼女も同じはずだ。


しかし、タカの目は確かにすごく驚いているように見えたけれど、特に喜んでいたりそういうことはなく、

その証拠に3秒ほど俺を見つめたあと目をそらして何事も無かったかのように子供達のあとを走っていってしまった。



その予想外のタカの反応に立ち尽くしたまま、首をひねった。


一言も声を交わすことなく再会を終えた。


もっとなにか、感動に満ちた再会を望んでいたわけではないが、あまりに素っ気なかった気がするのは気のせいか。



人違いということはありえない。


あの声も、立ち姿も、髪の長さも

タカのもので違いなかった。



だとしたら、なんだろう。

俺の考えすぎだろうか。


ドアの前で考え込んでいると再度ドアが開けられた。

年配の女性がにっこりと笑って俺を手招きした。俺は、慌てて家に足を踏み入れた。