最後まで読み終わって、私は乱暴に便箋を封筒にしまって、靴を取り出した。
聞きたいこと、言いたいことたくさんある。
まずなんで最初こんな丁寧なのに途中からこんなタメ口なのよ。
なんでもいい
もう一度
もう一度、ちゃんと話したい。
「あっ、フーちゃん早いよー!今日は私も一緒に帰るからゆっくりはなそー
て、それラブレター!?」
そんな声に気づかないぐらい、混乱していたのかもしれない。
今さらあんな手紙、もらいたくなかった。
また、気持ちが戻ってしまう。苦労して押し込めて落ち着かせた感情が
また舞い戻ってしまった。
「フーちゃん!?なに、なんで走るの!?手紙誰から〜?」
「……キノ……バカ……」
「へ?キノくん?」
走ったって何も変わらないのに、走らずにはいられなかった。
そうしたらじわっと涙がにじんで来た。
なんでもっとちゃんと話さなかったんだろうとか、ちゃんとお別れを言いたかったとか、
キノのこと忘れたことなんて一度もなかったとか
たくさんたくさん
手遅れなことが今やっと自覚されて、やるせない気分になった。
もういないはずのキノの居場所。
いつもの小さなアパートに足を踏み入れた。
薄暗い階段のコンクリートが踏み出す度に低く響いた。
後ろからも追ってくるように響いていた。
この先に、キノがいた場所がある。

